意外と使い勝手の良い「O/D」ボタン

1991年に「AT限定免許」が制定されて以来、取得者のほとんどがAT限定を選択しています。そのAT車のシフトレバーにはつい最近まで、とあるボタンが付いていたこと知っている方はほとんどいないでしょう。

MT車を運転される方や車好きにとっては何てことのないシステムなのですが、そうではない方には、車についているボタンは押しても良いボタンなのか迷ってしまいますよね!?

勇気を出して押してみると「O/D OFF」や「Sports」などと表示されてしまい、「うわぁ、やっちまったぁ」と混乱したことがあるかも知れません。

今日は昔は必ずついていた「O/Dボタン」について勉強していきましょう。

「O/D」ってなに?

「O/D」とはオーバードライブの事です。

自動車が走っている時は効率よく走行ができるよう、このオーバードライブスイッチが働いた状態になっています。5速のAT車であれば、常に5速の状態で走るようにスイッチが入っているのです。その方が効率が良いのですね。

ところがいつもそうとは限りません。道路にはアップダウンがつきものです。

皆さんは下り坂の時、どんな操作をしていますか!?「ブレーキペダル踏んでます」という声が圧倒的でしょうか。急な下り坂ではエンジンブレーキも使いたいので、2速や1速にギアチェンジしてますという方もいるでしょう。

では緩やかな長い下り坂や上り坂が交互にある時はどうされていますか?毎回下り坂になったらシフトレバーを変えてエンジンブレーキを効かすように走行するのも大変です。

そんな状況時に使用したいのが「O/D」ボタン。「O/D」を押すと、オーバードライブスイッチが解除された状態の走りになり、5速AT車であれば自動的に4速に落としてくれて、4速から1速までの低いギアで走行してくれるのです。

CVTの登場

そんな便利な「O/D」ボタンですが、「O/D」ボタンそのものが姿を消しつつあります。特にAT車限定免許証を取得したてでダイハツ車しか運転経験のない方は「O/D」ボタンの存在すらご存知ないのではないでしょうか。

その理由はCVTの登場にあります。CVTとは「Continuously Variable Transmission」日本語では無段変速機と言われています。

それまでの速度変換の仕組みは歯車にありました。速度に応じて歯車を切り替えていたのですね。

ギア付きの自転車を思い浮かべられると良いかもしれません。自転車で急な坂道を登りたい時にはペダルを軽くするためにギアチェンジをし、チェーンがガチャンガチャンと歯車間を移動したと思います。自転車が古くなってくると、チェーンが外れたりした思い出のある方もいるハズです。

そう「ギアチェンジ」という名のごとく、シフトチェンジはギア=歯車を介して行われてきたのです。

典型的な車のギア

ところが最近全盛のCVTには、歯車を切り替えるという考えがありません。

ふたつのプーリー(車輪のような回転する部品です)にベルトなどを巻き付けてそれを回転させます。そしてそれぞれのプーリーの直径を変化させることで無段階に増速や減速をするという考え方のもと動いています。

プーリー

もうギアという概念そのものがなくなりつつあるのです。このCVTはギアのように変速時のショックもありませんし、力のロスも少ないです。つまり燃費が更に良くなるということです。

各自動車メーカーがCVTを採用しない理由はありません。ダイハツのラインナップではもう殆どの車でCVTが採用されています。スズキでも軽自動車および登録車ではCVTがメインになってきています。ということは、「O/D」ボタンも必然的に存在しないのですね。

シフトレバーの構造がAT車に準じているAMTには「O/D」ボタンがあるのでは?と思われるかもしれませんが、例えばスズキの車では、Dレンジからレバーを横にスライドさせて、手動でギアを上げ下げ出来るようにしたシステムにしているので、「O/D」ボタンはありません。

概念そのものが覆り、車が発展してゆくというのはとても凄い事です。「O/D」ボタンがあるうちに一度その感触を試してみてはいかがでしょうか。